長寿の秘訣は毎日満腹にならないこと
食事は腹7分目にしたほうが長生きするー。にわかには信じがたい話ですが、これはアメリカのアカゲザルを使った長寿に関する実験で明らかになった事実です。
正常食を与え続けたアカゲザル(A, B)とカロリー制限食を与え続けたアカゲザル(C, D)の写真.ともにアカゲザルの平均寿命に近い27.6歳(老猿)である.カロリー制限をしたサルは若々しい様子が見てとれる.
WNPRCのグループが与えた餌は精製されたペレットでショ糖分が約30%を占めるのに対して,NIAの餌は天然の穀物が大半を占め,ショ糖分は約4%しか含まれていなかった.次に餌の与え方の違いについては,WNPRCのグループは,はじめの一定期間すべてのサルに自由に餌を食べさせた後,カロリー制限群では徐々に量を減らして30%のカロリー制限を実施した.これに対して,NIAのグループは,最初から年齢と体重に基づいた必要カロリーを計算し,その100%を与えた群(コントロール群)と70%を与えた群(30%のカロリー制限群)とで比較を行った.それらの相違点の結果,WNPRCグループのコントロール群のサルの平均体重は,アメリカ中で飼育されているアカゲサルの平均体重よりも重く,逆にNIAグループのそれは軽くなっていた。
https://katosei.jsbba.or.jp/view_html.php?aid=403
この実験では、通常量の餌を与え満腹状態にしたアカゲザルと餌のカロリーを30%減らすことで飢餓状態にしたアカゲザルとで比較しています。後者のアカゲザルは、カロリーが70%までカットされているわけですから、三大栄養素のタンパク質、脂質、糖質も当然不足することになります。
ここでポイントになるのが糖質です。糖質は生命維持には欠かせないエネルギー源となっていますので、できるだけ効率よくできる限り節約して使おうとするのが動物の基本システムです。
それが通常の70%しか入ってきませんので、そのシステムが限界まで稼働し、動物が持っている生命力や長寿遺伝子が活性化されることで、長生きしたのではないかと考えられます。
つまり、いつも満腹でいると帰って長生きしにくいのです。長寿遺伝子を活性化させるためにも、食事の管理は必要不可欠ということになります。